教養としての「住宅制振装置」第三章_大手ハウスメーカーの取り組み
さて、連載企画「教養としての住宅制振装置~なぜ今evoltzなのか~」第三章です。
今回の企画を始めるに際し、弊社にて、制振装置メーカーの歴史を調べてみました。
その中でわかったことは
・震災
・法律
・大手ハウスメーカーの動き
この三つが大きく影響しているということです。
また、住宅性能表示制度によって耐震等級2や3を取得した割合の推移を確認していくと、
「なぜ今evoltzなのか」が歴史的に見えてきます。
前章では、耐震等級の導入、その後、「なぜ、制振装置メーカーが誕生し、普及してきたのか」を解説しました。
耐震等級の普及が進まない中、倒壊対策として注目されたのが「制振装置」でした。
本章では、業界を技術面でもリードしている大手ハウスメーカーの制振装置の取り組みを解説していきます。
■ 大手ハウスメーカーの取り組み
大手ハウスメーカーの歴史をたどると、まず「免振装置」に取り組む会社がありました。
「免振装置」は、地震時に震動を軽減し、建物に大きな揺れが伝わるのを防ぐ役割をしてくれます。
地震時の振動自体を住宅に伝えない免震工法は、地震対策として優れており、
耐震+免震工法は地震対策として最強です。
ただ、「免振装置」にはコスト面での課題があります。高性能な「免振装置」を導入することは、
建築費用を上昇させる可能性があり、多くの家庭にとっては負担となることが考えられるのです。
下記、日経ホームビルダーからの抜粋です。
免震装置と制震金物、効き方はどう違う?
免震と制震は、地震に対する考え方がそもそも異なるので一概に比較できない
2009.01.15
大手ハウスメーカーは、「免震装置」を開発し普及させる中、コストの課題をさらに凌駕する開発で「制振装置」を開発していきました。
■「制振装置」の開発
下記は、大手ハウスメーカー制振の歴史です。
自社オリジナルや共同研究で開発されています。
【一覧】
2005・10
ジーエルホーム
地震応答変位と揺れを低減させる制震システム『GTSウォール』
2005・11
ミサワホーム
制震装置付き住宅『MGEOエムジオ』が3000棟を突破
2006・2
ブライトホーム
制震システム『B・SAS』販売開始
2006・4
ミサワホーム
「ミサワホームイング『耐震+制震リフォーム』」を発売
2007・9
ミサワホーム
制震パネル『エムジオ』と『MGEO-H』の受注が合わせて1万棟突破
2007・12
積水ハウス
制震装置『シーカス』を標準搭載した鉄骨系新商品を発表
ミサワホーム
木造軸組工法用の制震パネル『エムジオ・エヌ』販売
2008・11
トヨタ自動車
トヨタホームの鉄骨ユニット工法住宅向け『T4システム』開発
2008・11
トヨタホーム
シンセシリーズで、新開発の制振システム『T4』が選択可能に
ちなみに、株式会社evoltz(千博産業株式会社)の制振事業部はというと、
・2005年に制振事業部を発足
・2008年に自社開発制振 “Jダンパー”を販売開始
下記ヒストリーでは序盤です。
2000年前半から後半までに、住宅の地震対策には大きな動きがありました。
耐震等級の制定、制振装置メーカーの誕生、そして大手ハウスメーカーの取り組み。
次の章では、耐震等級の普及に関して、新たな制度と災害をきっかけにどう変化していったかを解説していきます。