戸建て住宅の制振構造に用いられる「制振装置」について知っておくべき4つのコト
地震大国日本において、近年戸建て住宅でも注目されている制振工法
この肝となるのが「制振装置」です。
普段あまり聞きなれないこの「制振装置」が一体どういったものなのか、また、なぜ制振装置が戸建て住宅に必要なのかといった点を、メリットやデメリットを含めてご説明していきます。
制振装置とは
「制振」とは、地震の揺れに耐える耐震や、揺れを受けないようにする免震とは異なり、「地震の揺れを吸収する」と定義される地震対策の考え方のひとつです。
そして制振装置とは、地震動をエネルギーとして捉え、エネルギー自体の抑制を図るため、建物自体に組み込まれる装置のことを指します。
制振装置の種類としては、以下のようなものがあります。
・ダンパー
振動する建築物や機械構造の振動を減衰する装置で、自動車の技術にも用いられています(ショックアブソーバーとも言われます)。
建物自体や車のバネなどが揺れを受けた際に、揺れ続けることや変形・損傷をしないように、組み込んだダンパーが変形してエネルギーを吸収する構造をしています。
ダンパーには、油圧を利用したオイルダンパーや、粘弾性素材(ゴムやアクリル樹脂など)使ったもの、変形をし続ける性質を持つ金属を用いたものなどがあります。
なぜ戸建て住宅に制振装置が必要なのか
なぜ、戸建て住宅に制振装置が求められているのでしょうか。
まず、建築における「耐震」の基準として「建築基準法」の記載を確認してみます。
主たる基準は以下のとおりです。
住宅の密集する都市において震度6強~7程度に対して、倒壊・崩壊しない
住宅の密集する都市において震度5強程度に対して、損傷しない
そして建築基準法とは別に、耐震等級(1~3)という壁量の指標が定められており、目安は以下のとおりです。
等級の数が上がるにつれ、地震に強い「堅い家」となる、という考え方です。
これだけを見れば、耐震等級3を満たした戸建て住宅であれば、大地震が発生しても倒壊や損傷はしないのではないか、と考えがちですが、実際には、耐震工法にもウィークポイントがありあます。
大きく、2つのポイントが挙げられます。
①堅い家は衝撃を受けやすい
家は堅くなるほど地震の時に揺れ幅は小さくなりますが、実は内部に伝わる衝撃力は大きくなってしまいます。
そのため、一度の揺れでは倒壊はしませんが、繰り返しの余震が重なると、内部構造が破損してしまう恐れもあり、新築直後の耐震性は次第に損なわれてしまいます。
②耐震性能の劣化
大地震の発生時には前後に多数の余震を伴います。
実は、その余震ごとに建物の構造は少しずつ傷んでしまい、耐震性能が劣化していきます。人が気付かない程度の小さな余震でも、戸建て住宅は大きいため徐々にダメージが蓄積されているのです。
このように、耐震等級3のようなどんなに堅くて丈夫な建物であっても、地震の積み重ねによって内部構造の損壊を誘発します。
そのため耐震構造自体を守るために、揺れの衝撃を吸収してくれる「制振装置」を組み込んでいくことが、戸建て住宅において非常に重要となってきているのです。
制振装置を設置するメリットとデメリット
今後の大型地震に備えるために重要となる制振装置には、当然メリットもあればデメリットもあります。
戸建て住宅を建てる際に、制振装置の設置を検討される場合は、以下に挙げるメリット・デメリットをしっかり理解して判断の参考にしてください。
制振装置のメリット
耐震構造の破損や消耗を抑え、性能劣化を防ぐことができる
建物自体の損傷を防ぐこともできる
2階以上の上階の揺れを抑えやすくなる
比較的倒れやすい上階にある家具の倒壊などを回避できる
制振装置のデメリット
制振装置のメーカーによって効果に差があるが、
選定が難しい。
改装などの際に後付けする場合は、新築時に設置する場合よりもコスト高。
制振装置は既存の建物に後付けすることも可能だが、壁をはがしたり、制振装置を施工した後に復旧したり、とコストがかさむ。
実際の効果|制振装置を設置していた方のインタビューより
制振装置の概要や特徴については上述してきたとおりです。
この制振装置を設置することで、実際にはどれほどの効果が出るものなのでしょうか。
ここで、実際に制振装置を設置した方によるインタビュー動画の内容を抜粋してご紹介します。
(※2018年6月に発生した「大阪北部地震」を実際に体験された京都府宇治市にお住まいのご家庭へのインタビューです)
Q 発生当時の状況や揺れはどうだったのか?
A 激しい揺れは感じられず、地震によって近隣の家などが揺れている音が目立って聞こえてきた印象。一人は入浴中だったが、揺れを感じながらも慌てて出るほどではなかった。震度5弱というニュースを見て、嘘だと思った。
Q 近所など地域の被害はどうだったのか?
A 友人の家では、家具・家財が倒れたり散乱していて同じ地域に住んでいるとは思えなかった。
Q 自宅の被害はどうだったか?
A 縦型の扇風機も、その上に置いていた電話の子機すらも倒れていなかった。その他、家具・家財は一切倒れていなかった。
このように、地震によって甚大な被害が出た地域であっても、制振装置を取り付けることで全くと言っていいほど住宅に被害は出ませんでした。
いかに制振装置が重要かをご理解いただけるかと思います。
インタビュー動画自体は下記のリンクより視聴できますので、ご興味ある方はご覧ください。
大阪北部地震 evoltz お施主様インタビュー2018
evoltzの簡単な紹介
上記のインタビューしたご家庭では、「evoltz(エヴォルツ)」という制振装置を新築時に導入されていました。
このevoltzには、従来の制振装置にはなかった、以下のような大きな特徴があります。
特許技術によってわずか3mmの揺れ幅から効果を発揮する。
耐震構造が損傷してから機能する従来の装置とは違い、家を長くいつまでも守れる。
evoltzは高い技術力を用いただけでなく、徹底した品質管理によって安心して使用できることを追求した制振装置です。
今後も予想され得る大地震に備えて、制振装置を検討している方は、ぜひ下記のevoltzのサイトをご覧ください。
https://www.evoltz.com/
まとめ
近年大きな地震が頻発している中で、これまでの耐震技術だけでは大切な家を守り切れない状況となっています。
これから戸建て住宅を建てようと考えている方は、本稿でご紹介した制振装置についてしっかりと理解して、不安を残さない家づくりの準備をしておいてください。