戸建て住宅に求められる制震構造について

この十数年の間、日本各地では予想を超える大規模な地震が発生しており、住宅における地震対策のあり方が見直され始めています。
建築基準法を満たすだけではなく、より長く住宅を、そしてそこに住む人を守る為に「制震構造」についても考えることが求められるようになってきました。
本稿では、今まさに重要性が高まってきている制震構造についてご説明していきます。
耐震や免振との違い、それぞれのメリット・デメリット、制震構造住宅の実際の事例などをご紹介しますので、ぜひご覧ください。

制震構造とは

まず、制震構造とはどういったものかご説明します。
「制震」とは建築設計上の概念であり、建物への地震エネルギーを減衰させたり増幅を防いだりすることで、建物の振動を低減させることを指します。
建物内の装置(機構)により制震を図る建物の構造を、制震構造と言います。
耐震構造や免震構造と最終的な目的は同じながら、構造として区別されます。
また表記に関して、「制震」ではなく「制振」と表記されることもありますが、制振は振動を制するということを指し、地震のみでなく振動全てを抑えるという意味で、より広義な目的を目指すものの呼称です。

なぜ戸建て住宅に制震構造が必要なのか

上述した制震構は、戸建て住宅を建てる上でも非常に重要となってきています。
その理由としては、建築基準法も満たしながらも、近年発生した大型地震の際に倒壊してしまったり、倒壊は免れても内部の破壊によって、住める状態ではなくなってしまった戸建て住宅が多く出てしまったことが挙げられます。
これらの事象は、頑丈な建物でありながらも、何度も発生する揺れによって、最終的に破壊や破損が発生してしまったという点に原因がありました。
個人にとって人生最大ともいえるきわめて大きな買い物である住宅は、長く安全に住み続けられることが求められます。
そのため、大きな地震が発生した際にも倒壊を防ぐだけでなく、その後も住み続けられる家にするために、これまでの対策にプラスして地震の振動を抑える制震構造が今求められているのです。

耐震構造・免震構造・制震構造の違い

戸建て住宅などの建物における地震対策として、耐震や免震、制震などの言葉を聞いたことがある方も最近は多いと思います。
これらは建築における構造の種別として、以下のような定義の違いがあります。

耐震構造
建物が倒壊せず住人が避難できることを前提とした、揺れに耐え得る頑丈で強度の高い構造。

画像引用元:https://www.menshin.biz/?q=menshin/node/4840

免震構造
建物と地中の基礎部分の間に設けた装置によって、揺れと建物とを切り離すことで、建物に地震の揺れを直接伝えない構造。

画像引用元:https://www.menshin.biz/?q=menshin/node/4840

制震構造
建物内にダンパーや錘(おもり)などの制御装置を組み込み、地震の揺れを吸収する構造。高層ビルなどの高い建物では、上階ほど揺れが増幅するため特に有効となる。

画像引用元:https://www.menshin.biz/?q=menshin/node/4840

耐震構造・免震構造・制震構造のメリット、デメリット

建物を守るという点で共通の目的を持った3つの構造ですが、各々異なる定義があることをご理解いただけたかと思います。
定義が異なるが故に、それぞれに相応のメリットとデメリットが存在します。
戸建て住宅を建てる際には、これらを十分に理解しておく必要があるでしょう。
各々のメリットとデメリットは以下のとおりです。

制震構造の事例

制震構造について、一定程度の定義やメリット・デメリットについてご覧いただきました。
続いては、実際に制震構造としてどのようなものがあるかご紹介していきましょう。

粘着性(ゴム系・アクリル樹脂など)

摩擦系

金属疲労系

油圧系

各ハウスメーカーの制震装置

まとめ

近年、予想を超える大型地震が多発しており、これまでの地震対策の考え方では住宅を守れないケースが増えてきています。
戸建て住宅を建てる際には、従来の「耐震」や「免震」のみではなく、「制震」を図るための「制震構造」も取り入れていくことをおすすめします。
今後、長く安全に住める家を作るためには、制震構造は必須となっていくと予想されるため、良く理解しておくと良いでしょう。